うまのおいのり
2020.08.29.18:21

うまの おいのり より
食べ物をくださいね 十分な水といっしょに。
そして私の面倒を きちんとみてほしいのです。
一日の仕事が終わったら、私が横になっても 十分寝られるぐらいの 広さがあって からりとした 清潔な馬房で 休めますように。
やさしく接して 話しかけてほしいのです。
手綱よりも やっぱりあなたの 言葉がいいな。
そして時々 その手で撫でてくれれば、あなたと もっと楽しく 頑張れると思うのです。
ね、だから手綱は ぐいぐいひっぱらないで。
坂を上がるときは 鞭でぶたないで。
ひっぱたかれるのはいや。たたかれるのも、蹴られるのも。
もし あなたの言うことを よく理解できなかったとしても もう一度 ゆっくり言い含めて。
次はきっと 意に添えると思うのです。
それでも どうしても 思うようにいかなければ もう一度 立ち止まって 私をよく見てみて。
馬装がよくなかったり、肢(あし)が痛かったりすることも あるから。
ベルトを あまりきつく締めないで。
頭を動かしたいから ゆるめに付けて。
目隠しを どうしても 付けるというのなら せめて 頭を動かして 周りを見れる自由がほしいのです。
そして きつく目を 押さえつけないでくださいね。
重い荷物の 載せすぎに 気をつけて。
私をつないだまま 長い間 ほうったらかしにしないで。
蹄鉄は ちゃんと履かせてくださいね。
もし 私があまり食べなかったら 歯を見てほしいのです。
腫れ物が あるのかもしれないし。
分かるでしょう それって とても痛いものだから。
頭を きゅうきゅうに 持ち上げるのはやめて。
それから 尾を短く切らないで。
だって それは うるさいハエを追いはらうのに どうしても 必要なものだから。
のどがかわいても 私はあなたに訴えることが できないのです。
だから きれいな水を 絶えず飲ませてください。
強い日差しから 守ることも 忘れないで。
凍てついた 寒い日には 何か 覆いをかぶせてくれると しのげるのだけど。
いきなり 冷たいハミを 口に入れないで。
お湯につけても あなたの手の ぬくもりでも まず温めてほしいのです。
私は いつだって 頑張ってお仕事をしたいのです。
あなたが望むように 昼だって夜だって。
何時間だって 立ちながら あなたを待っていますから。
そして とうとう最後に……。ねえ、わかる?
私の力が尽きてしまったら 飢えたり 凍えたりするような 辛い目に あわせないでほしいのです。
残忍な主人のところに 売り飛ばすようなことも。
きっと 私を痛めつけて、殺してしまうに きまってるから。
だからお願い あなたのそばで やさしく 天国に送ってください。
そしたら 神さまもきっと あなたの行ないに 報いてくれるから。
今も そしてこれからも ずっと先も。
アーメン
お互いがお互いを誰よりも大切にできる世の中になりますよう、まずは私は私を大切に日々生きることをお馬に、すべてに誓います
